ファースト・インプレッションではピンとこなかったというのが正直な感想です。
アルバム全編を通じてひとつのテーマを追っているように感じられますが、コンセプト・アルバムという方向性でもなくアルバム全体としての統一感には少々、欠けるのではないかと感じました。
それはもしかすると、既にシングルCDとしてリリースされている楽曲と新曲のバランスの問題なのかもしれません。
既出済タイトルの並ぶアルバム前半部と新曲中心のアルバム後半ではイメージが異なってきていると感じられます。
しかし、それは逆の見方をすると作り手の目論見通りだととらえることもできます。
「everything」のタイトルが表す通り、これまでの千葉紗子さんとこれからの千葉紗子さんの全てという対比を明らかにさせた作品であると考えられるからです。
今、まさに千葉紗子さんは表現者として新たな一歩を踏み出されたところです。
そこに至るきっかけとなる想い、そして、これから先、表現者としていかに活動すべきか、その決意の顕れなのではないかと考えられます。
それは千葉紗子さんご自身も今回のアルバムにおいて作詞に挑戦されているところからも窺い知ることができます。
既出の楽曲に関してはここで述べるのは置いておいて、新曲群に関して少し触れておきたいと思います。
初見ではインパクトという面では薄いと感じました。全体的にゆったりした曲調が並ぶ、綺麗綺麗な作りであるという印象がありました。
しかし、それは曲の良し悪し云々ということではなく、楽曲の目指すところが派手さにはなかったということなのではないかと思います。
むしろ、これらの楽曲がメッセージ色の強い、想いを伝えるためのものであるが故、こうした曲調のものを選んだという結果なのではないかととらえることができます。
これはアルバムとしての方向性であると理解できる部分であって、たいした問題ではないと思います。
(実は細かいところまで聴き込んでみるとギターのワークなどはけっこうヘヴィーであったり、リズムにしてもパワフルであったりするのですけどね。
とはいえ、千葉紗子さんの楽曲としてはあまり激しいアレンジは似合わないでしょうから、これくらいのミックスが妥当なのでしょう。)
個々の楽曲にはそれぞれに作品独自の世界観が感じられ、音の面でもストーリーの面でも説得力のある非常に完成度の高い作品となっています。
弦やピアノ、クワイアを使った綺麗なメロディの並ぶなか、しっかりと音的な遊びの部分も含まれているところはいかにも梶浦由記さんの作品という感じで聴き応えがあります。
「雨のヴィオロン」以降、アルバム後半では静かながらも揺るぎのない決意の込められた作品が続き、終盤まで一気に聴かせる作りとなっています。
特に「ひとりでもふたりなら」「Take me」「星が解けて」の各曲は千葉紗子さんの歌に対する直向な想いがストレートに伝わってくる素敵な曲であると思います。
欲を言えば、アルバム全体を通じて、これらの曲のようなエモーショナルな部分を前面に押し出した曲がもっと多くあっても良いのかなと思いました。
千葉紗子さんは歌の技術的にも良いものをお持ちですので、どうしても無難にこなしているという印象を受けてしまうのです。
まあ、この点については全く個人的な考えであるのですが。
このアルバムはこれ自体で終わりというわけではなく、次の作品へと繋がる一歩。新たな可能性が秘されている作品であるととらえています。
アーティスト千葉紗子の道は今、ここに始まったばかりであると感じています。
「everything」という作品が千葉紗子さん自身のターニング・ポイントとなることは間違いないでしょう。
これから先、素晴らしい人々、素晴らしい楽曲に出会うことで、千葉紗子さんは人間的に成長し、さらに素晴らしい歌を残していってくださると信じています。
アルバム最後の曲「Wendsday morning」にはそうした決意の意味が含まれているのではないかと感じました。
アルバム「everything」はこれからの千葉紗子さんの活躍を期待させる作品となりました。
千葉紗子さんがこれからどのような歌を聴かせてくださるのか、それを楽しみにしながら、千葉紗子さんのことをしっかり見守っていきたいと思います。
そして、これからも「everything」を私自身の応援歌として聴き続けていきたいと思います。
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